2017年4月25日 (火)

在りし日の動画凍頂烏龍茶

ねじまき句会、兼題「頂」。

渡辺隆夫さんがお亡くなりになったそうだ。洒脱な社会派川柳の書き手が、いなくなってしまった。
 
   妻一度取られ自転車二度取らる

   ゆる褌の日本列島みえるみえる

   鳥帰るあらまテポドンどこ行くの

一度だけ隆夫さんにお目にかかったことがある。句集「魚命魚辞」の批評会のときだった。
終了後、地下鉄の駅へと向かっていたら、隆夫さんがタクシーに乗りたいと困っておられる。どなたも分からない様子で、地上まで私がご案内しましょうということになった。
「こちらです…」と歩き始めると、隆夫さんが逃げるように歩を早める。方向を確かめようと思って、「ホテルはどちらですか?」と尋ねると、「いえ、タクシーに乗れば…」とか何とか言いながら、完全に逃げ腰で階段の端へ端へとすり寄って行く。地上へ出てタクシーを止めると、飛び乗って行かれた。まるで私が部屋に押し入り、押し倒されるのを危ぶまれているかのような慌てようは、思い出してもおかしい。とびきりシャイな紳士だった。
 

2017年4月22日 (土)

香雪美術館 熊谷守一展

香雪美術館は、阪急神戸線御影駅から5分。駅前と思えない静かな佇まいの美術館。いまは、透けるようなもみじをはじめ、新緑の瑞々しいお庭でお抹茶もいただけます。

「画壇の仙人」と呼ばれた、熊谷守一。トレーシングペーパーに描いた下絵を、表から、裏から、また角度を変えて描いてみたり、どんどん削ぎ落としていく作画行程が垣間みられるほか、初公開の屏風絵「竜虎図」や、めずらしい書簡なども展示されていました。
学芸員の方のお話から、1969年に障子から差し込む光を描いた「朝のはぢまり」にみるような円を描いた作品は、具体美術協会の吉原治良が円を描いていたのと同時期だとか。現代のようにネットもない時代なので、おそらく互いの作品は知らなかったであろうとのこと。方や具象、方や抽象で、行き着いたところが円……円ねえ…。

美術館のとなりは、羽生弓弦君ファンにおなじみの「弓弦羽神社」。駅の北側には、おいしい蕎麦の「ふくあかり」もあります。

2017年4月21日 (金)

つづきの会吟行@京都三条通商店街界隈

さすが京都の古い商店街。創業安政元年あり、釜師治良兵衛あり。釜屋、斧屋の江戸から八百屋、米屋、肉屋、漬け物屋…と三丁目の夕陽あり。行列のできるモンブラン、うなぎ。神社にお寺に公園に、路地にと、見どころ満載。

出句数は決めずにまずは書けるだけ書いて、清記時に10句出しに決定。8人×10句、80句から7句選して合評。
吟行句は、見聞きした情景や言葉に頼った句になりがち。ましてや今回のように、句材そのものだけでおもしろい場合、それを料理するのには力加減や技やらかなり難しい。

  生湯葉の表も裏も黄金狂時代

  格子戸は鶴の折り方忘れたか

  音立てず硬貨数える京みず菜

  どこまでを家族と呼ぶか精米機

  ふじいろに咳きこんでいる古書店主

  リビングに信号のない交差点

  うっすらとほほえんでいる斧である

 

2017年4月18日 (火)

いきなり句会@くんじろう絵てがみ展

神戸の「くんじろう絵てがみ展」へ行くから来ませんか?と突然のお誘い。青森のかなえさん、島根の芳山さん、なかなかごいっしょする機会のない方々なので、それは行かねば!と神戸へ。遠来の方々だし、絵てがみ見てランチくらいかしら…と出かけたら、和女さん、くんじろうさんもいらっしゃり、な、なんと吟行句会をするって!
40分出句無制限。5人でジャスト60句。清記して昼食をはさんで、5句選&合評。ぶっつけ本番みたいな、おそろしい句会。
日ごろの川柳フィールドのほとんど重ならない5人。書き方も読みもかなりばらばらで、川柳の広さを実感。貴重な句座でした。
とにかく、柳人からの誘いには油断するまい。
くんじろうさんが、震災後の東北へ毎日送り続けた366枚の絵てがみ展は、4月30日まで。神戸市中央労働センターです。いのちあるものを抱くような、ぬくもりがあります。366日分ありますので、誕生花占いじゃありませんが、誕生日の一枚をさがすたのしみも。ちなみに私は、「九回裏の落ち葉」。さみしー。
 
  県警の八時五十九分の旗

  もう一人来るころ階段濡れている

  ソメイヨシノのうしろで肉が焼きあがる

  うすももいろは痛いほどやわらかい

  書きかけの家族を置いてパン買いに

2017年4月17日 (月)

おとなり

半年ぶりのリアルねじまき句会。
投句一覧を見て、ううっ…となる 。となりの句が、華はある、迫力ある、完璧な一句。これはもう、ぜんぶ持ってかれちゃうじゃん、なんで並んでるのよ〜!と、京都にくっつけられた奈良の気分。ごめん、奈良。ん?…あの句じゃ奈良に失礼?ごめんなさい、奈良。
まあこれは半分冗談だけど、前の句が難解だったのでほっとしたとか、隣り合う句が選に影響したという意見が出た。たしかに、それはありがちなだけに、一句といかに向き合うかを心しなければと思った。

選者のときは、できる限り一句一句が生きるように並べたい派で、そこにも時間をかけるのだけど、それはどうなのかなあ?

2017年4月14日 (金)

さくら、さくら

今年はよく桜に呼ばれる。桜が会いたい人に会わせてくれる。

夕べは、「御舟かもめ」の桜クルーズ。川を上って下って、大阪の橋をいくつもくぐる。両岸には散り初めの桜。遠くには大阪城。中之島に着いた頃はちょうど日暮れで、夕陽を背負ったビルがやわらかく佇む。舳先は母のラシャ鋏のように水面を裂く。水は低音を響かせて歌っていた。数年前に夜桜クルーズをした人が、そのときの舟のBGMはカサンドラ・ウィルソンだったと言う。それは素敵だろうな。
岸の人が手を振るので、手を振り返す。それは何の合図でもなく…、犬が尾を振るようなもの。じわじわとよろこばしい気持ちが湧いてきて、どんどん大きく手を振るのだった。

2017年4月 9日 (日)

スミレ座「水姫」@イカロスの森

スミレ座「水姫」に、「ぬくい泡」書かせていただきました。

踊りと語り、コントラバスの生演奏と映像というスミレ座手法で展開されるそうです。
と き    4月22日(土)15:00〜 、19:00〜
     4月23日(日)15:00〜
ところ イカロスの森(神戸市灘区海岸通1-8-10)
予 約 tel:090-9880-0785
            arayan.710.ya@kdp.biglobe.ne.jp
            sawakoc@yahoo.co.jp
 

2017年4月 7日 (金)

今だけの匂いの庭にある首輪

お花見には、くじ引き的たのしさが含まれている。

花がその日咲いているかどうか。お天気がどうなるか。肝心なことが、分からない。この計算できなさも、さくらの魅力なんだなあ。
2日、神戸市灘区の桜はまだ1分か2分咲き。つぼみ越しの青空を見上げた。5日、神戸市中央区の桜は、3分か4分咲き。今にも降り出しそうな曇り空に、ふくらんだつぼみの紅いドット。さみしい人にも春はそっと来て…、そんなさくら。
今年のさくらは、心なしか縮こまっているような。そんな年もあるよね…。

2017年4月 1日 (土)

川沿いに来るえんとつの頃のこと

ねじまき句会 題詠「頃」。

気持ちの整理のつかないことがあって、いろいろな方の弔辞を読んだり見たりして過ごす。忌野清志郎への甲本ヒロトの弔辞が胸に沁みた。

明日は、お花見。いる人も、いない人もいっしょに見るのが、さくら。

2017年3月31日 (金)

鐘の音のかさなるようにすれちがう

「墨作二郎を偲ぶ会」 、兼題「鐘」。

全国から、多くの結社から、多彩な顔ぶれの集まった追悼句会。作二郎さんのご夫人、そして三人のお嬢様も出席され、にぎやかに和やかに氏を偲びました。

墨作二郎という人、作品、そして点鐘の会と遺句集について、森中恵美子さん、小池正博さん、本多洋子さんが語られるのを、壇上の作二郎さんがいつもの強面で、すこし恥ずかしそうにうれしそうに聴いておられる。
小池さんが取り出されたのは、作二郎さんの声。苦みばしった作二郎節が流れ出すと、ちょっと斜に構えたような首の角度、鋭い眼光、話している姿まで目に浮かぶ…。ご家族をお見送りする時のこと。「お父さんの声が聞けたなあ」とうれしそうなお嬢様に、ご夫人は「気取っとったな」とぴしゃり。あの作二郎氏に…と、笑ってしまった。
句会選者の方々も、ありきたりな美辞麗句はなく、怒られた、こわかった、そしてとにかく川柳に一途だったと、それぞれのエピソードを語られた。本音で生きてこられた作二郎氏ならではだろう。
また会場では、作二郎氏の色紙や句集などが多数並べられ、欲しい方の手に渡った。
長く氏の近くにいた方々が、心を尽くされた会だったと思う。その出逢いこそが、氏の川柳人生において何よりのしあわせだったことのように感じられた。

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