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2009年9月15日 (火)

洞(うろ)というやさしい穴を持っている

 太刀魚や遠き光を撥ね返し
 忘るるにつかふ一日を蔦茂る
 待たされて美しくなる春の馬
 秋の湖しばらく息を吐かずにおく
 霧吹きの口さびしさや春の宵
 蜥蜴の尾つるりと黒を選びとる
 競泳の水底という四角かな
 ヨットより出てゆく水を夜といふ
 君の遣ふ言葉は薄し舟遊
 湖の底の祭りを掬ひに行く

      俳句集「海藻標本」 佐藤文香

作者は1985年生まれ。高校生(中学?)のときから、作句をはじめられたようだ。
出会ったときがその人のタイミングとは思うけれど、はじめての恋愛や妊娠、出産のときに、もし川柳と出会っていたら、どんな句を残しただろう・・・と思う。

手にとったときは、タイトルに違和感を覚えたが、読み返すうちにうまいなぁと納得。澄んだ水の中から救い上げた思いの草を、ゆっくり乾かしてできたことばを集めたような趣き。
『待たされて美しくなる春の馬』 ダントツでこの一句が好き。春の陽のような淡くやわらかな高鳴りに、輝きはじめる馬・・・だれにも止められない、どうしようもない美しさ。

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