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2013年3月

2013年3月30日 (土)

口笛の届く範囲にいるのです

赤信号の横断歩道で待っていたら、シルバーカーを直角に折れて押すおばあさんがやってきた。止まらない。「おばあさんまだですよ~」と言ってもずんずん進む。思わず飛び出して、真ん中で止めた。背中を車が通り過ぎる。ひゃ~、赤信号だった!私のことも、だれかが助けてくれたのね・・・。

2013年3月27日 (水)

白線のゆるりと人らしきかたち

おじいちゃんとおばあちゃんの夕飯は6時。私が4時ごろに行くと留守のことも多い。おじいちゃんは畑や地域の会合、おばあちゃんもカラオケや老人会と多忙で、夕飯前に帰ってくる。
夕べ、6時を過ぎても二人とも帰って来ない。おじいちゃんの軽トラックがないので、どうやら二人で出かけたらしい・・・。30分、1時間待つ・・・折りしも、交差点の角に真新しい花束とペットボトルが置かれているのを見たところだったので、落ち着かなくなってくる。
7時をまわって帰ってきた。舞鶴に置いていた、おじいちゃんの釣り舟がなくなっていると釣仲間から連絡があり、見に行ってきたらしい。舟を繋いでいた南京錠が切られて落ちていたらしく、ポケットから出しながら「もう止めいうことかな?」と、自分に言い聞かせるように呟いた。
舟は、定年退職のときに職場の方々から贈られたもので、26年間おじいちゃんに釣をたのしませてくれた。「小アジ釣ってきたからな」という、おじいちゃんからの電話はキョーフだった。惣菜やさんか!というくらい、南蛮漬けを作らされる。親戚や近所に配るのだ。見るのもイヤになるとは、あのことだった。・・・あの「小アジ祭り」もなくなる。なくなるんだな・・・。

2013年3月26日 (火)

夜桜の閻魔堂まで十三段

今日は、健康診断の予定だった。
家を出る前に持ち物と注意を読み直したら、前夜21:00以降飲食禁止。げっ、朝ごはんをしっかり食べてしまった!明日やり直し~。

近所の白木蓮。今年は花が一回り小さくて、花数も少ない。こんな年もあるんだね。心なしか、ゆっくり丁寧に咲かせているようにみえる。
ひらき合う白木蓮と空は、信頼しあってる。さくらは、信じるのと同じだけ疑っている気がする。

2013年3月25日 (月)

四丁目の「まさ」

詩人、玉川侑香さんは、神戸市兵庫区の平野市場 「玉川ふとん店」のおばちゃんでもある。 阪神淡路大震災で自宅は全壊。店の合間に、ひざの上で 詩を綴ってきた。 昨日朗読してくださった『四丁目の「まさ」』は、「震災を語り継ぐ三部作」の一編。
さくらの樹が語っているような・・・しなやかな力のある声だった。さくら色のことばが心の深いところに届いた。

四丁目の「まさ」

 とうとうわても ダンボールおばはんになってしもた
 昼は風よけ、夜はこん中に入って寝るんや

 近所の人が避難所へ来いと言うけれど
 行かへん
 いや 何も性悪されるからやあらへん
 もうちょっと 息子のそばにおるんや

 ほれ
 あの屋根の下――と言うたかて
 焼けてなんもなくなってしもたけど

 あの下に
 息子も嫁も孫も 埋まったままやねん
 ドーン…いうて地面が鳴ったとたん家が飛び上がった
 次にゴゴゴォォと揺れた時には暗闇の中で
 身動きできなんだ
 天井が降ってきとったんや
 「はよ 出んかい!」息子の怒鳴る声がして
 はりを支えてくれとったそのすき間から
 わて一人 這い出したんや
 そのあと ドドドーと崩れてしもたんや
 目の前で 家が崩れてしもたんや

 なんで わてだけ逃げたんやろ
 息子が下敷きや!ヨメも孫も こん中や!
 わては半狂乱で崩れた材木に埋ずまりながら

 手でガレキをほじくっていった

 そんなもん らちあかへんわな

 どこかで火の手が上がったんやろ
 気がついたら あたり一面火の海やった
 わては もう逃げへんかった

 そやのに
 「おばはん なにしとんねん!」
 どこの誰だかわからへんけど
 わての衿くびをひっつかんで逃げてくれた
 靴が燃えて やっぱり熱いわ

 焼け跡の灰を バケツですくて
 手のひらの上で転がしてみるんや
 指で押さえて つぶれるんが灰
 白うに残るんが 骨や
 息子の な

 一日一回ボランティアの人が
 おにぎりとみそ汁を持ってきてくれる
 心配せんでも
 わて 死なしません
 気がすむまで こないしたら
 もういっぺん 生きてみるわ
 二回も助けられた命やさかい
 また 串カツ屋の店だすわ
 その時は あんた
 食べに来てや

 四丁目の「まさ」いうて尋んねてもろたら すぐ わかる

2013年3月24日 (日)

三月のさかなも瞼ほしくなる

痛覚がなくて、瞼のいらなかった魚。
けれど、痛みを知らない魚は、
かたちも匂いも、なにもかもさみしい。
さみしさのかたまり。
途方に暮れた目で、泳ぎつづけるしかない。

2013年3月23日 (土)

見つめあう夜の桜と夜の水

さくらが咲いた。句会の席でも、各地のさくら情報が話題に。さくらのイベントやお花見は、予定が狂ってたいへんそう・・・。
「怖い」の題に、桜が何句か出てきた。魔性を感じるものね・・・桜は。

2013年3月22日 (金)

数式のように百足の足動く

「怖い」っていう題を考えながら眠ったら、ほんとうに怖い夢をみた。ぬいぐるみは動くし、パジャマ姿のちいさな男の子が箪笥から出てくるし・・・。目覚めてからも、身体が重~い。
夢を振り落としにエアロへ。右手は包丁で切るように上下に、左手はテーブルを拭くように左右に同時に動かすという振り付け(体操?)があった。繰り返すうちにやっとできるようになったら、「左右入れ替えて~」。ふと鏡をみると、どっちも左右に動いてる~~。「志村けんのおばあさんか!」自分で突っ込んだ。まわりを見たら、志村けんのおばあさんだらけ。ワハハ・・・。

2013年3月20日 (水)

退屈そうな亀を裏返してあげる

タイトル句をたまたま目にした娘が、「亀もいろいろ考えるやろなぁ」と言う。「え~、元に戻るのに必死で何も考えへんやろ?」「そらすぐに戻れたらいいけど、なかなか戻られへんかってヤバッてなったら、これまでの人生とか、やり残したこととか・・・最後に一杯飲みたいとか・・・思うんちゃう」「私かい!」

川柳とは関係のないとある場所でのこと。おじいさんがM新聞の川柳壇を熱心に読んでおられた。「川柳なさってるんですか?」と尋ねてみると、「いえ、私はしてませんがね。読むのは好きなんですよ。・・・あ、あなたね、川柳だったら神戸新聞を読んでみなさい。あそこの川柳はちょっと違ってね、なかなかおもしろいよ」と教えてくださった。「そ、そうですか。ありがとうございます」とお礼を述べた。汗が噴き出した。

2013年3月19日 (火)

どしゃぶりの雨降りつづく声の裏

夕べは、「雨男と月を見る会」新年会。みごとな雨降り、そして上弦の月!

雨男さんが耳鳴りにお悩みとのことで、場所は中国家庭料理・薬膳料理「鞍山」。

http://www.moriage.net/taberu_0005_1.htm

下町のなつかしい中華やさんの佇まい。お料理はどれも美味しかったけれど、茄子の唐揚げみたいなのが最高だった。
20年だったか、漬け込まれた薬膳酒をいただく。ウオッカみたい・・・。P姉さんがちびちび舐めては、ビールで薄めながら飲んでいた。さすが!薬膳酒は3種類あったが、「冬虫夏草」しか憶えていない。咳止めシロップみたいな色をしていた。薬効もいろいろ書かれていたが「男性ホルモン」しか記憶にない。P姉さん、「明日、いろいろ元気になったらどうするぅ?」と笑っていたけど、どうだったのかな?ヒゲでも生えたかな?

2013年3月18日 (月)

捻じ切れて開きっぱなしになった母

自分でも気づいてはいましたよ。もちろん。
家を出てから、忘れ物を取りに戻ることがドーンと増えました。あ、マスク忘れた。あ、ケータイ忘れた・・・と。戻ったら戻ったで、洗面所の電気が点けっぱなしだったりして、あ~よかったなんてこともしょっちゅう。
それを春休みで帰ってきてる娘に指摘された。「絶対に1回は戻ってくるよな~」。ジム用のシューズを取りに戻ったときには、「どれだけ愉快なサザエさんしてるねん!」と呆れられた。
そして昨日。出かける前に「忘れ物はないかなぁ?」と点検していたら、「1回エレベーターまで行ってみたら」ときた。キッ~~~!フン、あと30年経ったらこうなるんやからな。憶えてろ(泣)

2013年3月17日 (日)

ブランコで見飽きた影を切り落とす

ジムのズンバへ。ズンバはラテン系の音楽に合わせて、とにかくどんどん踊るエクササイズ。
このクラスでは、いつも黄、ピンク、オレンジ、グリーン・・・蛍光ペンのようなパンツを履いた、ノリノリのオバサンご一行さまといっしょだ。
今日は、途中で輪になって踊るところがあった。いや驚いた。「イエイ!イエイ!」「フゥ~!」「ヤァ~!」、頭も腰も千切れんばかりに振りまくりの弾けよう。全員、昨日の句会で全ボツだったのか?というくらいヤケクソ。このエネルギーが活用できれば、脱原発してもいけそう・・・何とかならんか?
それにしても、ノリが悪いな・・・私。

2013年3月16日 (土)

かあさんはわたしをわすれわらびもち

「升田学ヒトスジ展・空地」へ。
http://www.a-t-n.jp/topics/2013/01/post_34.html

1本の針金で一筆書きのように、人、草花、虫、鳥・・・命が立ち上がる。
照明がゆっくり変わる。地面にくっきりと線画が浮き出たかと思うと、銀の人や花が浮かぶ・・・。どこか不安なのに、心地よい・・・ふしぎな気持ちにさせる。

人の顔の部分がすっぽりと抜けている。
96歳で自分の名も、子も忘れたおばあちゃんを思い出した。
「おまん、誰ぜよ」「あんたの娘よ」「あてに娘はおらんけんどね・・・」「ひとり娘よ」「へぇ~。産んだおぼえはないけんどね・・・」
見たこともない安らかな笑顔でおばあちゃんは笑っていた。それはちっともさみしくも、かなしくなかった。私はとなりに座って、おばあちゃんの手を握った。おばあちゃんは、おなじ笑顔で握り返してくれた。

2013年3月15日 (金)

名づけられすこし汚れてしまう猫

知人のワンちゃんは、「ソクちゃん」「ヘーちゃん」「カンちゃん」。ソクラテス、ヘーゲル、カント。頭が大きめで賢そうな犬たちです。

犬と言えば思い出す。いしいしんじの「東京夜話」のなかの「吾妻橋の下、イヌは流れる」。「センセイ」と呼ばれる元僧侶のホームレスのおじいさんが、野良の老犬を飼いはじめる。センセイは、犬を「イヌ」と呼ぶ。イヌはおしっこのとき、足を上げ続けていられず、毎回お腹をびちゃびちゃに濡らす。それをセンセイが洗ってやる。ところがある日、犬は足の限界で、踏み変えることをおぼえた。左右の足を踏み変えながら踊るようにおしっこする・・・。泣けた・・・。あの話は、実話だと思う。イヌはおしっこするたびに、センセイに褒められただろう。イヌはどんなにか誇らしかったろう。

2013年3月14日 (木)

叱られてやたらうれしい阿闍梨餅

兼題「餅」。
阿闍梨餅は京都銘菓。クレープのようなもちっとした皮にあっさりめの粒餡がたっぷり包まれている。心にずしんとくる、やさしい説教みたい。叱ってくれる人がいなくなるのは、ほんとうにさみしい。
句会後、大丸に買いに行ったら売り切れだった。

2013年3月13日 (水)

水仙一群 少年聖歌隊

娘の助っ人で京都へ。時間があまったので、近くを散策。
川辺は水仙が満開だった。
句会の席題は「聖」。字からの連想と風景がふわりと重なった。

2013年3月11日 (月)

もうひらくことないまぶたわすれ貝

昨日は、瀬戸チームの皆さま&遠来の方々と、神戸行き当たりばったりツアーへ。
地元の一員としてガイドを名乗っておきながら、ほとんど初めてのところばかりで、瀬戸チームの一員のようについて回る。兵庫大仏、清盛塚、鉄人28号・・・地元民も知らない穴場中の穴場の観光スポットを案内(笑) 雨は降ったり止んだり、突風は吹き荒れる。だれだ~、嵐を呼ぶ男は!(バンダナのおじさんがあやしい・・・)
生田神社を通り抜け、お昼はベトナム中華「鴻華園」。何て名前だったか?水槽の底に沈んだバットみたいな貝を初めて食べる。う~~ん、塩くらげを薄くのばしたようなヘロへロした食感。瀬戸のNさんが、「昼間からビールなんて飲んだことない・・・」と戸惑っておられて、お互いにカルチャーショックであった。そして、神戸文学館「時実新子展」へ。
前日の大会のことも含めた川柳の話、年齢の話、花粉症の話・・・話は尽きず。あっという間に名残惜しいお別れの時間になってしまった。

よき仲間に恵まれることは、川柳を続けるいちばん大きな力かもしれない・・・としみじみ思った一日でありました。

2013年3月10日 (日)

ひよこ豆

  雨は止まないまま明るくなる空

  さざんかの痛みを散らすように散る

  陽を浴びるテレビのなかにいる家族

  塗り箸はたぶん答えに近すぎる

  喉仏に触れては落ちるひよこ豆

  ぺったんこの靴 尾っぽのないさかな

  得意気に鳩とりだしてくる辛夷

  ムーミンのカップに夜が注がれる

  耳に溜まる三軒先の雨の音

  補助線を引いて水面を立ち上げる


senryu「So」3号が出来上がりました。ご希望の方は、また句会などでお声かけください。今回は、この春Soのメンバーの心に響いた新子句を集めた「時実新子2013」との2冊セットです。

2013年3月 9日 (土)

会いにゆく車は夜を追い越して

時実新子月の子忌七回忌川柳大会。
席題「力(ちから)」の選をさせていただく。291名参加。582句より、入選34句+特選1句を選句。超集中してハイペースで入選・入選候補・ボツ候補・ボツに分けていく。いつもはたいてい入選の句数に足りない分を、入選候補から選び直す。ところが、入選の束からさらに絞らなければならず・・・。鬼のような選でありました。というようなことで、私も出さなかった句も含めて、山のようなボツ句を大事にしようと思います。

こころに揺らす句の数々・・・新子先生の声・・・なつかしい方、はじめましての方・・・力を使い果たしたあとに濃密な時間が流れ込み、生クリームとカスタードたっぷりのシュークリーム気分の今夜です。

2013年3月 8日 (金)

春の水まるで夜など知らぬよう

昨日は、娘からの頼まれごとで、散歩会を泣く泣くお休みした。そういう無理を言われたことがなかったので、ここは出番かな?と思ったのだけど、よく考えると無理を言う隙を与えてなかったのかもしれない・・・と思ったり。

通りすがりの夕暮れの神社へふらりと引き込まれる。拝殿はもう閉じられていて、お賽銭を入れることもできない。鈴を鳴らし、気が引けるので一つだけお願いをする。境内は白梅、紅梅がくすくすとひらいていた。

それから、娘を迎えに行った。はじめて保育所に迎えに行った日のことを思い出しながら。あの日、半日離れただけで、娘はまったく別の匂いになっていた・・・。娘が私を見つける。すこし恥ずかしそうに笑っていた。

2013年3月 6日 (水)

正直に疲れをみせているなすび

日曜日のピラティスで、みぞおちが激しく筋肉痛。昨日、先生にそのことを言ったら、「悪いけど今まで正しくできてなかったと思う」って。1年半も~~。どれだけ飲み込みが悪いのか。「ここからよ、ここから!」と、明るく励まされたが、先生のような体型は果て無しなく遠のいた気がする。
川柳も同じだな。分かるまでの時間、そう書けるようになるまでの時間・・・。何ごとも、長くたのしめるようにできておる。

2013年3月 4日 (月)

もう一人のわたしの遠くなる水辺

Rちゃんとの川柳談義で、自分を演じる句の話になった。「新子先生も演じてると思うんだけど、どこが違うのかな?」・・・と言われ、はたと気づいた。新子先生は、大竹しのぶだと思う。演じていると感じさせず、憑依したように詠まれている。
川柳の中では、別人でも、理想の自分でも、鳥になっても、鍋になってもいいけれど、狙っている感じや、わざとらしさが見えるといただけない。自然体に近く書くのは、技術ではなくて、対象とこころがひとつになっているかどうかではないだろうか。

2013年3月 2日 (土)

前へ前へ進んでまるい金魚鉢

ドキュメンタリー映画「100万回生きたねこ」を観に、神戸アートビレッジセンターへ。
神戸洋食の老舗、グリル一平本店でランチ。ランチに、ステーキ150gミディアムをオーダーして、ビールを飲むおじいさん。「いつもの」とオーダーして、ミックスフライとやっぱりビールのおじいさん。ハイカラなおじいさんたち・・・、神戸だな。
佐野洋子さんは、想像していた通りの声と話し方だった。やや低めの張りのある声で、サバサバしゃべる。「~~じゃん。だもんだから~~アハハ~~。人間死ぬときゃ死ぬのよ~」。
「100万回生きたねこ」のお話(朗読)に、佐野さんのことば(文字や声)、そして、本と出逢った様々な年代の女性たちの人生が織り込まれていく。家族、特に母親との葛藤を抱えて生きる女性たちが印象的だった。
「風を受け入れるように、風のようにこの世に自分が受け入れられた」というような佐野さんのことばがあった。自分がこの世に人として生まれ落ちたこと、自分の存在を自分で受け入れたいのだ、みんな。
映画館を出たら、雨。コンビニで傘を買って、神戸駅まで歩く。Rちゃんからブツを受け取る。「お茶しようか」と言うのでついて行くと、「ニュートキョー」。あ、そっちのお茶ね。2時半だけど。枝豆、ふぐ皮ポン酢、たこわさで泡の出るお茶。しばし歓談。

そこからまた歩いて、元町の海文堂書店へ。さらに三宮まで歩き、そごうで聖庵の田舎パンを買って、夜は女子会。年嵩の女性の取り仕切りに感心する。全体に相談なんだけど・・・と持ちかけつつ、自分の描くストーリーにきちんと着地させた。私は、みんな意見を聞きすぎて、たいてい収拾がつかなくなる。一生できないと思う。

2013年3月 1日 (金)

   あらかじめ少し冷しておく両手

   生まれたてのかなしみを抱く連れ歩く

   悔いに似た望み金柑ふくらます

   重なって離れられない影と影
 
   手はいつもことばになりたがっている

         (川柳 洋子の部屋「ゲストの椅子」)

電車で向かい合わせたおじさんに「手相を見せてほしい」と頼まれたことがある。怪しげな人でもなかったので、手をひらいてみせた。「幼いときに、命を落としかけたね」「親子の縁が薄い」「長男と結婚」「子どもは二人」・・・次々言い当てられてドキドキした。これから私はどうなるのか?聞きたかったけれど、聞きだせなかった。
おじさんは次の駅で電車を降りた。手に刻まれた記憶を抜き取られたようで、しばらく手のひらを見つめていた。

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