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2013年5月

2013年5月30日 (木)

布団からはみ出しているおとぎ話

夕暮れの曇り空。
ほんのすこし赤みがかった灰色が、美しかった。
しばらくすると、やわらかな墨色。それもまたいい。

夜が、花びらみたいに湿っている。

2013年5月29日 (水)

おおかたを失うことばに変えるとき

神戸市シルバーカレッジ川柳色紙展のご案内をいただき、異人館へ。
雨の北野坂を上りながら、はて?会場は、「うろこの館」だったかしら?とあやふやになる。ま、行ってみましょうと、おらんだ坂を上る。「うろこの館」は、急な坂のてっぺん。息があがる。チケット売り場で「川柳色紙展」やってますか?と聞くと、「それは、たぶんラインの館だと思います」と道順を教えてくださった。「うろこ」と「ライン」・・・3文字ってことしか共通点ないのに・・・。
さて、色紙。書あり、水彩画あり、切り絵あり、コラージュあり・・・。一句も、こんなに大事にされたら、さぞ喜ばしいだろうと思った。

夜は、講演会があったので、小腹を押さえておこうと、坂の途中の小さなカフェへ。ゆったりしたソファ席。シフォンケーキも、添えられたジャムもアイスクリームもすべて手作り。くつろぎタイムのはずが・・・、先客の女性がケータイでしゃべりっぱなし。大音量。
「・・・上司の家に行ったのぉ・・・。お父さんもお母さんも、すっごい飲む人で、バーボン3本カラになったんだよ。・・・お風呂入ってたら、先輩のお母さんが、『娘たちは、もう誰もいっしょに入ってくれなくてさみしいの。いっしょに入れてね』って入ってきたの。信じられるぅ?初対面の上司のお母さんに、お背中流しましょうかって・・・」。そりゃすごいわ。それから、企業秘密だという菓子の新商品企画の話。ダダモレですけど・・・。姪っ子の就活事情・・・。しゃべりっぱなし。途中から、いったいどういう相手の人が聞いているんだろ?と気になった。

講演は、イッセー尾形の一人芝居を手がける演出家、森田雄三さんのお話。
日々の当たり前の暮らしのなかで、当たり前にやっていることを、観察して切り取るだけでおもしろくなる。川柳的だなと思った。
いろいろ話されたけれど、人は誰かにしゃべりたい。真面目に聞かれると関係が成立しない。聞き流されるからこそ話せる。聞いていないものにしゃべるのはものすごく落ち着くという話に、先のカフェの女性が重なる。そういえば、うちのおじいちゃん、おばあちゃんも、猫や犬に話す。あ、このブログもか?!

2013年5月28日 (火)

汚れにも傷にも強いさみしいわ

「さみしい」とか言っちゃったらダメよね・・・と、どこかで言っておきながら、また言っちゃってますシリーズ。
「表面」という題でした。ステンレスかい!

某K新聞川柳壇の題は、私が候補をいくつか出して、文芸欄担当の記者さんと相談して決めます。
そろそろお気づきの方もあろうかと思いますが、50音順です。私が担当になったときにそうさせていただき「あそぶ」から始まりました。ただ今、ナ行まできています。
「舐める」「握る」ときて、次は「ぬ」・・・。いくつか考えてメールしました。
『ナ行はどうしてもヤラシくなるのですが・・・。「脱ぐ」「抜く」「塗る」「ぬるい」「ぬるぬる」「沼」いかがでしょうか?』
デスクで爆笑されたとか。どれに決まったかは、もう少々あとのおたのしみということで・・・。

2013年5月27日 (月)

予備の予備の予備のカミソリ母の棚

きれい・汚いという感覚には、かなり個人差がある。それには、幼児期の身近な人の影響が大きいように思う。
母の最たる汚いは、不特定多数の人が触れることだった。一番よく言われたのは、「お金は汚い。誰が触ったか分からないから」。お金を触ったら、必ず手を洗わされた。同じ理由で、貸本はダメ。つり革もダメ。公衆浴場では、脱衣ロッカーを必ず風呂敷で拭きあげて使った。
TVの料理番組の先生が「きのこ類は洗わずに濡らしたキッチンペーパーで拭きましょう」と言ったときも、「誰が触ったか分からへんのに気色悪い!」と速攻却下していた。
幼いときに刷り込まれたものを払拭するのは、なかなか大変だ。図書館の本や、古書に慣れるのに随分時間がかかった。
もう一つ母の嫌ったのは、おばあちゃん(姑)の手だった。ご飯が炊き上がると、真っ先におばあちゃんが仏飯を供える。手も洗わずに混ぜるのが気持ち悪いと、いつも嫌な顔をしていた。
ある日、私が仏飯を供えるよう言われた。おばあちゃんと同じ手つきで、釜のへりからご飯を離すようにして混ぜた。その手を母がピシャッと叩いた。「混ぜんでいいの!」。
炊き立てご飯は、軽く混ぜるものだと知っている。未だにご飯を混ぜることができない。炊飯器を蓋をあけて立ち上る湯気を見ると、「混ぜんでいいの!」が聞こえてくるのだ。

2013年5月25日 (土)

言葉は捨てましょう 薔薇であるために

しばらくぶりにズンバに入ったら、ほとんど新曲に変わっていた。ズンバはインストラクターの説明なし。見よう見まねで踊るクラスなので、しっちゃかめっちゃか。
ラストの9曲目で、気づいた!右、右、左、アップ、ダウン、キック、ダウン・・・インストラクターの動きを、一度ことばに置き換えて動こうとするから難しいのだ。見たままを、ただ真似をしたら、ずっとラクだった。
近ごろは、ゆっくり感じるよりも先に、ことばに置き換えようとしてる気もするなぁ・・・。一種の職業病だなぁ・・・。

2013年5月23日 (木)

なつかしい日を浴びている敷布団

ちょっと残念なしらせがあって、昨日からこころが下腹のへんにある感じ。
夕食の仕度も終えて、実家の居間で脱力していたら、ゆずが後ろからよぼよぼやってきて、私のわき腹を鼻で2回、つん、つんとして隣りにぺたんと座った。
ことばは通じないのに、なんて通じ合えるんだろ。

冬をどんどん洗って干して仕舞う。夏を引っ張り出す。
出番のなかった春のあれこれ・・・今年は春の句も少ない。

2013年5月21日 (火)

羊歯の奥 生みたて玉子直売所

火曜日と金曜日だけの営業らしい。
看板は剥げて、人気もなくひっそりと崩れそうな小屋。
洗濯ロープみたいなものに、揺れているのは傘。

吟行のときは、上5が決まらないまま出した。
 笹の音 生みたて玉子直売所 

大阪駅で待っているように言い聞かせたはずの雨が、昼過ぎには追って来た。
傘に乗せて連れ帰る。お仕置きにベランダに出して、鳩の念仏を聴かせてやった。

2013年5月20日 (月)

その前に落としてしまうパンの耳

ここ数日、鳩の鳴き声で目が覚める。お隣のベランダが、鳩夫婦のねぐらになったらしい。
この声が、「クルッポー」なんて明るい調子ではなくて、唸るように「ん゛ーん゛ーん゛ー・・・」と陰気で不吉。寝覚めがよろしくない。しかも、5時!
おまけに、ベランダ伝いにときどき覗きにやってくる。鳩は、鳥の中でも、羽の色や柄に地味にバリエーションがある方だが、この夫婦は絵に描いたような「The 鳩」。
鳩が来るようになって、雀が来なくなった。雀の声は愛らしくて大好きなのに・・・。私は、声フェチだから、悪いけど声で選びます。
お隣の鳩対策を待つしかない。

2013年5月19日 (日)

ねじまき吟行@山崎川

名古屋駅から地下鉄で30分ほどの閑静な住宅地。桜並木の川辺を吟行。
駅の高島屋で、意気込んで豪華名古屋づくし弁当を購入。片寄らないように、水平に持ち歩く。片手がふさがってメモがとれない!
仕方がないので早々にお弁当を食べて、1時間ばかり句材を拾う。あとは、会場でゆっくり作句しようと思ったら、地図の距離感覚がつかめず時間いっぱい迷ってしまう。ぺったんこの底の薄い靴を履いていたせいで、かなり足腰にきた。

曇り空が重い。葉桜の緑が重い。まるまる太った鯉も重い。咲きこぼれる薔薇も重い。五月って、けっこう重量感がある。

  待つことを教える日曜の雨に

  ふと力抜くと綿毛になる五月

  降りてゆく水の匂いになってゆく

2013年5月16日 (木)

私小説をはみだす白い足首

「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を夜更かしして観る。
キューバの長老ミュージシャンたちを集め、キューバ音楽のアルバムを作り、カーネギーホールでライブも開くドキュメンタリー。
最高齢のギタリストは92歳!80代、70代のメンバーたちは、みんな過去の人だった。音楽を離れ靴磨きをしていた人も、足を引き摺るように歩いている人もいる。それぞれの音が音楽への愛を呼び覚まし、奇跡のステージを作り上げる。
いくつになっても、たましいの輝く瞬間は訪れる。すばらしい!

「パーカッションはプロでない者が最高の奏者。プロになると軽い音が出せない」とおっしゃった、ティンバレス奏者。演奏中、野坂昭如
さんそっくりで、私のツボでした。

2013年5月15日 (水)

私を綴ると匂うクレゾール

坂本正直展(ギャラリー島田)へ。
一昨年に97歳で亡くなられた坂本正直さん。二度の出征から帰還後は、中学の美術教師の傍ら、戦争体験を題材に描きつづけてこられた。後ろ手に縛られた捕虜の無数の手。負傷して運ばれる兵士の眼・・・。それらは決して悲惨さを見せつけない。人間の残酷さを知ってしまった人の、深いかなしみ、おそれ・・・そこから生まれる、祈り、鎮魂のようなものを感じた。

91歳のときに受けられた、テレビインタビューが流れる。
「どうして戦争をテーマに描き続けてこられたのですか?」
「私にとって、もっとも印象の強い出来事だったからです」
「60年間も戦争の絵というのは、やはり、戦争の悲惨さを後世に伝えたいというお気持ちですか?」
「いいえ、違います。体験したことを描いているだけです」
「これから何を伝えたいとお思いですか?」
「何を伝えたいとか・・・。これ(描くこと)は、私の仕事です。描くことが慰みになっています。描くことで、気が済みます」

むごたらしい現実を描いているのに、それでも救いが感じられるのは、坂本さんのこの精神からと思う。

人間が、人間の生命を断ち切るのに、何の抵抗も感じない状態になってしまったある時間、が、月光に照らされ、静まりかえっている、あの風景のなかで経過したのであった。静まりかえっていた、あの風景のなかで、かすかに動くのは、月光にきらめくクリークの水面であった。あの風景のなかには、生命を、むごたらしく断ち切られてしまった人たちの死体が、夜露にしっとりとぬれて、月光に照らされていた。(坂本正直『クリークの月』より抜粋)

2013年5月13日 (月)

これで魚は私をわすれないだろう

20年来、ずっと探しつづけていた絵本を、夕べ偶然ネットで見つけた。
ちいさなお友だちにプレゼントする絵本を探していて、本屋さんで手に取った一冊。
さかなが川に落ちてきたチョコレートを食べてしまい、その味が忘れられず・・・というお話で、結末が思い出せない。セピア色に近い、素朴な絵だった。
何度も何度も、本屋さんで探したけれど出会えず。タイトルも著者も、出版社も覚えていなかったので、探し出せなかった。
「チョコレートをたべたさかな」、そのままのタイトルだった。早速、海文堂のFさんにオーダーメール。
再会の日は、いつかな?さかなは、どうなったのかな?

2013年5月12日 (日)

標本の翅の乱れてゆくひと夜

深夜に携帯が鳴る。A子から、メール着信。なになに・・・
「桐ちゃんちに泊まっていることになっていますので、よろしくね」
女子大生か!
アラフィフになっても、親にはナイショなのね~。
もう、よろこんでくれはるのちゃうの?

おかげで目が覚めてしまった。
おかげで天童荒太「悼む人」下巻読了。泣き寝入る。

2013年5月11日 (土)

水で蓋しておく声を出さぬよう

昨日は、仕事でびわこホテルへ。
お昼に着いたときは、いまにも降りだしそうな空。
いつでもおいでと、みずうみはやわらかく待つ。
午後3時。空とみずうみは同じ色になっていた。
一瞬にして、空とみずうみをつなぐ雨。

同行の方が、「お天気だったら、いい景色ですよ・・・」とおっしゃる。
「そうですね」と相づちをうちながら、この景色もいいですよ・・・と思う。
乾くまで、空とみずうみはいちまいの濡れた銀紙。

ふと、石部明さんの句を思い出す。
 
  琵琶湖などもってのほかと却下する

「もってのほか」言わしめるに足る、神域のようなみずうみに見入った。

2013年5月10日 (金)

亡き人のメールをひらく花の下

満開だったこの花の下からメールを送ったのは、つい去年のこと。
そのときのメールをとりだしてみる。
花はそのままなのに、1通のメールはもう届かなくて、
はなびらも、ことばも、みんな白いひかりになってしまった。

2013年5月 9日 (木)

輪郭の滲み家族になっている

輪郭のどこかを滲ませないと、家族はこわれてしまう。
そんなこと、無意識に滲ませ、家族をやれる人はいっぱいいる。
けれど、そのことに違和感を感じてしまう人もいる。
滲ませるのが、不得意な人もいる。
そんな人の集まってしまう家族もいる。
家族って?なんて、考えるもんじゃないと言う人もいるけど、
小さいときから、ずっと考えてる。

2013年5月 8日 (水)

象はもう見えない大きくなりすぎて

金沢へ向かうとき、米原から北陸道へ入りそびれてしまった。ついでだから、ぐるっと飛騨まわりで行こうということになる。ならば何をおいてもパン屋に行きたい!と声をあげる。「出た!ここまで来てパン!」と非難されながらも、「トラン・ブルー」へ。
以前、偶然テレビで見た。オーナーが訪ねたフランスの田舎で、三ツ星のパン屋がちいさな町の人たちへパンを焼いているのを目の当たりにして、地元にこそおいしいパン屋をーとオープンしたパン屋さん。全国から、修業にくる人の絶えないお店として紹介されていた。
駐車場に整理の警備員がいるところから嫌な予感。ロールケーキで有名になった、某ケーキやさんの長蛇の列を思い出す。案の定、店の前には列。私たちの後ろにもみるみる人が並ぶ。
扉から覗くと、中にもお客さんが並んでいて、レジ横に山型パンがすこし。しばらくすると、店員さんが出てきた。「今、お売りできるパンはありません。あと5分ほどでカレーパンと胡桃のプチパンが焼きあがります。順にお売りいたしますのでお待ち下さい。それから20分後にはクロワッサンも焼けますが、お求めになりたい方は、もう一度お並びください」と言う。
「レジ横に今あるものだけでいいので、いただけませんか?」と聞くと、「順番を崩すことはできません。順番がまわってくるまでお待ち下さい」と。
せっかくなので並んで、焼きたてのカレーパンと、胡桃のプチパンと、山型パンを買った。カレーパンは、さっくさく。ミルクを練りこんだという山型パンも、きめ細かさと弾力が絶品。美味しい!たしかに美味しい。でも、満たされないものが残ってしまう。いっぱい並んだパンの中から、選ぶたのしさも含めて町のパン屋さんだ。もっと言えば、心のこもった「ありがとう」のやりとりがあってこそお店。あれはもう、もはやパン屋とは言えない。・・・夢を実現するためには、欲の枝葉を落とさないといけないことがあるんだろうな。
街路樹のポプラが、今年もばっさりと枝を落とされていた。まっすぐ空を指す幹をみて、そんなことを思った。
川柳でも、いろいろな意味で「数」というのは重要な要素のひとつだと思う。

2013年5月 7日 (火)

野すみれをあげることばになるまえの

来月70歳になるという方とおしゃべり。
蔵書、写真、日記・・・あらかた処分したと話しておられた。もし私がその人の子だったら、蔵書や写真は残してほしい気がする。日記は、読まれたくないから処分されるのだろうから、それはそれでいいかな。
延命治療、葬式、墓、一切不要と遺言も書かれたとか。さっぱりとその方らしいと思うけれど、お別れのとき困るのよ・・・これが。なんとも決まりがつかなくて。
そういう方が増えてきたから、私のなかでのお別れの仕方を何か考えないと・・・と思う。
とにかくもう、残るものは差し上げちゃいけないな。

2013年5月 6日 (月)

握っているのに冷たくなってゆく

金沢21世紀美術館は、公園を散歩するようにたのしめる。
石の部屋に入ると天井が真四角に切り取られた「ブループラネットスカイ」。私が見あげたときは、雲ひとつなく透き通るようなみずいろの空が折り紙のようにあった。

Imagecais8aos  「スイミング・プール」は、ガラスの板に張られた水深10センチの水。上からは深い水を覗くような、下からは水底にいるような感覚を味わう。
どちらも、雨の日、雪の日、くもりの日も体験してみたい。恒久展示で無料なので、近ければ・・・と思う。

特別展は「内臓感覚 遠クテ近イ生ノ声」

からだの内側では、自然界さながらの生死が繰り返されている。こうしてじっとしている間も、どこかでは生まれ、出会い、ひとつになり、戦い、消え去り・・・ことばのない物語が紡がれている。五感を通して取り入れるものたちが、それらの内的世界を無意識に創りあげているのだろう・・・。

私の窓の切り取る五月の空も、今朝はうすみずいろ。

2013年5月 5日 (日)

ありがたいことばいただくように美酒

帰宅しました。いっぱい飲んで食べて、おいしい旅でした。

金沢で飲んだ「天狗舞」、美酒でありました。娘から、桐ちゃんがおいしいって言うお酒は、たいてい「山廃仕込み」って書いてあるねと指摘される。
「山廃仕込み」というのは、一般的な人工培養の酒母を使わずに、空気中や蔵のなかの天然乳酸を低温でじっくりと育てながら、手間ひまかけて醸造されるので、濃醇でふくらみのあるフルボディータイプとなるのだとか。
前に「獺祭」というお酒が美味しいと教えていただいて飲んでみた。美味しいのだけど、きれいすぎて引っかかりのない川柳のような・・・なにかちょっと足りない気がした。うん、わかったぞ。

2013年5月 4日 (土)

それはそうとしてツバメのこない春

金沢から、例年通りの奥志賀高原へ。
今年は雪が少ないのに、冷たい。いつもは、リフト乗り場の壁にたくさん巣作りするツバメが一羽もいない。どうしたことだろう?

森の中は、水音が激しく春を謳う。鳥も金管のような声をさし込む。
しずかな部屋で、白樺の木立をみながら選句。木々のような一句、一句を行ったり来たりして、森をさまよう。出口が見つからなくて、水音をたしかめている。

2013年5月 2日 (木)

春の庭

緑が色濃くなり、色彩のあふれる春の庭。
老犬が花びらをよけながら、よたよたと歩いてくる。
ことばは、どんどん遠くなってゆく。

  花と書きかけたのに死になっている

  この国のことば話さなくなった風

  引き抜いた草ひらがなのふしあわせ

  縁側に春のまぶたを干している

  輪郭の甘くかすれる春の庭

         (川柳 洋子の部屋「ゲストの椅子」)

2013年5月 1日 (水)

散歩会@ボストン美術展

仏画、絵巻物、水墨画、日本画・・・すばらしかった。惹き込まれ、圧倒され、感動がことばを超えてしまって、作句どころでなかった。なんというか、人が人間を超える力のようなものを感じた。

   曼荼羅へつづく中央コンコース

   ゆるしたい人の数だけ赤い芥子

   私にも残る下絵のゆるい線

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