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2014年1月 2日 (木)

植物園の半券に似た終わり

新しいメールアドレスに、明らかに私宛てのものでないメールが届く。よその大学の連絡、メンズショップのDM・・・。名前をもじったこのアドレスを、先に使っていた人がいるのだろうか?
 
と、今度はやけに親しげなメールが入った。どうやら友だちらしい。宛先が違うこと。他にも届いているメールを、本人に転送したいことを返信した。
 
ほどなくご本人からメール。名前に同じ文字を持つ、3つ年下の大学生だった。 
 
一度、会いませんか?と誘ったのは私。親友に恋人を奪われ、ショックから仕事のミスが続いて、バイトはクビに。断ち切りたいものがありすぎて、アドレスも変えたのだ。こんな私と共通点のある人が、しあわせかどうか確かめてみたかった。
 
秋晴れの当日、現れたのはどこにでもいるような大学生。拍子抜けしたと同時に、どこかで会ったことがあるような気がした。
 
落ち葉の積もる自然林をしずかに案内してくれる。クシャ、サクッ・・・カサカサの私の毀れる音がする・・・。強く強く踏みしめて歩いた。会話は途切れがちだったけれど、ふしぎと気にならなかった。
 
彼はしあわせそうでも、ふしあわせそうでもなく、ときめく対象でもなかった。ただ、懐かしいような穏やかさに満たされた。落ち葉の匂いのせいだろうか?
 
翌朝、屑かごの中の植物園の半券が目に入った。なんとなく拾って、なんとなく庭に埋めた。
 
あれから半年あまり。あの場所、そう半券を埋めた場所に、見慣れない草が生えている。彼とはあれきりだ。そういえば・・・・・・私には生まれなかった弟がいた。たしかそう母から聞いた。

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