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2014年10月14日 (火)

ひげ根

眼科の待合室。真向かいには、小さなおばあさん。おばあさんの首の小豆大のほくろから、3センチほどの白髪が生えている。まるでタネから伸びたひげ根のようだ。おばあさんは、ガムか何か噛み続けている。おばあさんの口の動きに合わせて、ひげ根が小刻みに動く。少しずつ伸びていくようで、そこにばかり目がいく。

はっと目が合った。おばあさんは、目の具合を話し始める。それから、住まいのこと、息子夫婦のこと、亡くなったお連れ合いのこと、氷川きよしのことなど、つるつる話す。ひげ根はますます揺れる。

おばあさんは先に診察に呼ばれ、戻って来たらメガネの話を始めた。ほどなく会計に呼ばれる。レジが、パッ、パッ、パ、パ、パッと鳴った。聞き覚えのある音・・・あれだ!「他人の関係」の最初の音。金井克子さん、今は一青窈の。おばあさんが、首を左右に90度ひねったときの、ひげ根を思う。きゅうと伸びそうだ。「やっと終わったわ〜、お先」と、おばあさんは帰って行く。ひげ根もくるんとお辞儀をした。

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