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2015年2月 2日 (月)

病院

父の付き添い。ピンクのカーテンのなか、父の尿パックの前のパイプ椅子に座る。尿と薬品と体臭の混ざったにおいに浸される。

持って行った本は、「悪事」小池昌代。平凡なくらしに潜む、悪。小石に躓くように、人生が狂ってゆく。
ときどき父が「何時や?」と聞く。点滴の雫がゆっくり時間を刻む。
さいごの短編は、みずうみの話。……どぼりん、とぽりん、ぽちゃり、ぴちゃ、ぽとん。舟は周囲に水音をたてながら、女を乗せ、ひたひたと夜のなかを進んでいった。
尿パックに、父の観念が溜まってゆく。父も小舟に乗ったまま、夜に浮かんでいる。

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