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2015年4月 5日 (日)

西原天気句集「けむり」

  はつなつの雨のはじめは紙の音

  てきたうに光をあつめたら水母

  三時から三時一分へと蜻蛉

  ゆびさきが電気に触れて春の月

  海の家から海までの足の跡

  東京の雪のはじめのマンホール

  胸すこしつぶして西瓜はこびおり

  初雪や茶碗のふちを灯がすべり

  すこし死ぬプールの縁に肘をのせ

  アンメルツヨコヨコ銀河から微風

俳句集。映画のオープニングのような印象の句が多い。一句のなかに時間の流れや人の動きが含まれるなど動画的で、ごく自然にその先を想像させる。さらに、ことばの音楽性が豊かで、黙読しているのに耳にも心地よい。
ページを繰る途中、句意を考えずに読んでいることに気付いた。景のみでも味わい深ければ、深読みしなくていいのだ。そこはかとないユーモアや抑制された表現は、川柳ではあまり見受けない。川柳人こそ読みたい句集。      (西田書店)

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