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2015年4月 9日 (木)

「芽を出せば」 香田裕子川柳作品集

  春はまず埃の中に現れる

  夕顔は隣の家を見てばかり

  咳き込むと父は罪人めいてくる

  秋という居心地の良さ両手鍋

  不自然に生きて波間に顔を出し

  梅干になってあなたにまた逢おう

  風下のほうにあるのは懐かしさ

  寝るときに必ず聞こえる音がある

  桃に花 姉からもらう化粧品

  箸を置く すべて終わったふりをして

もしかしたら、日常のすべては詩かもしれない。ただし、それを捉える感性を持ち合わせていればだ。日常詠が易しそうで難しいのは、平凡から非凡を見出すことだから。「そうですね…」で終わらない作品には、作者にしか見えなかったもの、作者でなければ捉えられなかったものが含まれている。対象と作者の間に生じた響き、そのちいさな振動が伝わってきたとき、素通りできない作品となる。多くの川柳人に日常詠が好まれるのは、丁寧に作られたおばんざい的親しみ、あたたかさ、なつかしさ…絶対的おいしさがあるからに他ならない。     (川柳みどり会 みどり選書)

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