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2015年4月 4日 (土)

今井和子句集「象と出会って」

  蛇口からぽつんと落ちる忘れ物

  鹿と話すと淋しさがうつる

  父の描く赤い椿は母である

  ぱっと開いた傘は父さんだよきっと

  私と水音だけの朝を行く

  疲れた冬は指の先から消えていく

  これからをたくし上げてる さくら咲く

  教科書のちょっと向こうの話です

  生まれたばかりほのぼのとした本能

  人生の残りは柿の木になろう

私も含めて多くの人は、取り立てて代わり映えのしない日々のなかで川柳を詠んでいる。どのような川柳の眼で日常を眺めるかが、ある意味個性につながっていく。
作者の眼差しはやさしい。犬好きの人が犬のよろこぶ場所を知っているように、あらゆるものの弱いところ、気付いてほしかったところを見つめる。そおっと撫でるように。
生きることの発露が川柳となる。そのことを、そっと耳打ちするように伝えてくれる。からだの芯からあたたまる…生姜湯みたいな句集。 (あざみエージェント)

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