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2015年5月28日 (木)

おじいちゃんの夢

おじいちゃんは入退院を繰り返しながらも、地域活動、畑…どれも手放そうとしない。当然、自力ではこなせないので人手を必要とする。しかし、そこは昭和一桁。決して頼まない。命令形、エラソー。しかも、自分のタイミング、やり方を押し付けるので、息子たちは、とっくにそっぽを向いてしまった。私も少しばかりは手伝うが、そうそうおじいちゃんにかまってもいられない。

そんな状況を見かねた娘(おじいちゃんからは孫、この春学生に戻った)が、畑を手伝ってくれはじめた。「明日、水やらなあかへんで」と言われても、「ほーい」と返す。二親等というのは、不思議にうまくいくものだ。

さて、おじいちゃんには夢があった。「もう一回、舞鶴で釣りがしたい」と度々口にした。行けなくなって3〜4年経つし、介添えが必要だ。海釣り公園くらいなら…と提案しても、舞鶴じゃなきゃ意味がないと言う。さすがにムリだろ…と思っていたら、娘がBFと叶えてくれた。
それがもう、想像を絶するサバイバルフィッシングだったらしい。まだ夜も明けやらぬ午前4時出発、約3時間で到着。釣り仲間の所有するボートが、ちょっとした原生林の中に置かれていて、茂みをかきわけて取りに行くところからはじまる。そんなこととは知らないK君は、Tシャツにクロックス。おまけに、おじいちゃんが持っていた南京錠の鍵が合わず、繋がれていた木の枝を折ってボートを取り出すはめに。釣りまでに傷だらけ。ボートは土まみれで、ムカデや蜘蛛や、見たこともない虫がわさわさ出てくる。それらとともに、海へ漕ぎ出したという。虫全般ダメな娘が、よく乗っていたと思う。海へ出ると、おじいちゃんは張り切ってボートを漕ぎたおし、入り江を塗りつぶすように移動しながら、アジやキスを釣り上げたのだとか。
夜遅く、無事帰宅。「舞鶴はもうあきらめかけてたけど、Kさんのおかげで夢が叶った。ほんとうにありがとう…」。おじいちゃんが、深々と頭を下げた。
今夜は、アジの南蛮漬けに、キスの天ぷら。食卓に、叶った願いがのる。

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コメント

映画の一場面を観ているようでした。K君、ええ男やねえ。
虫をガマンした娘さんもエライ。 感動しました!

おじいちゃん。お疲れになったと思うけど良かったね。
だんだん年をとって、果たせないと思うことがたくさん出てくるんだね。
まわりって大事~って改めて。
若いお二人もお疲れ様。感謝。

あれ?Tちゃん、虫嫌い?虫の造形は好きやん!?

完司さん
ありがとうございます。
K君、ほんとにいい人なんです。(しかもイケメン)
娘曰く、おじいちゃんの無茶ぶりで、
途中でキレてもおかしくない状況だったのに、
「また行ってもいいですよ」と言ってくれたとか…(泣)
感謝、感謝です。

ミホさん
若い二人がへとへとになって帰ってきたからね、
おじいちゃんも、疲れたと思うわ〜。
大量の魚を捌いてたけどね。

そうそう、虫の造形は好きなんだけど、まったく触れない。
とにかく、いつムカデが出て来るか分からない状況の
緊張感がいちばん辛かったって。

おばあちゃんは、Tの結婚式に出るのが夢とか言い出したよ。
気持ちは分かるけど、それは早まらないでほしい…(笑)

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