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2017年5月 3日 (水)

ぬくい泡

スミレ座「水姫」へ、昨年末の大晦日さいごの3時間でなんとか書き上げた作品。水姫(人魚)の姉の亡骸に語りかける妹と、姉のたましいのやりとり。スミレ座公演では、姉は老婆の人魚で、嗄れた声は自分の死に気づいていないかのようだった。いや、たぶん気づいていないのだ。

 ぬくい泡

額の骨の水平線に

(あの日の青を見晴らせるから)

波音濡らす右目の汀

(うろこの数をかぞえていたの)

流れはじめる鼓膜のふるえ

(きこえないほどうつくしいうた)

ひらいた口を行き来する魚

(一人分にも足りない夜の) 

渡りきれないいっぽんの首

(黒鍵だけを踏んでゆく鳥) 

声のかたちにならんだ胸と

(虹のことばのふやけてしまう)

水にかたむく背の両岸

(とおくの箱にあまく傷んで) 

腕に沿ってひかりの芽吹く

(覚えないようくりかえす春)

腰の高さに水草あつめ

(たましいと呼ぶしめったひかり)

それはあかるくくるうくるぶし

(わたしを捨てて舟はただよう)  

 

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