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2018年9月 2日 (日)

いちまいのはがき

プリンターの上に、裏の白い紙をのせている。原稿チェックとか、裏紙でいいときにそれを使う。プリンターでコピーをとるときは、それをどけなければいけない。その一番下には、一枚のはがきを置いている。
コピーをとるのは、そう多くない。月に1回あるかないか。そのくらいの頻度で、目にするようにあえてそこに置いている。今日も目に入った。

はがきは、昨年の2月、新聞の投句のはがきに混ざって届いた。差出人の名前はない。大きな力強い字で、「川柳選者 八上桐子さん 今年で止めて下さい」と書かれていた。
すぐに、担当デスクに連絡をした。もし他にもこんな声が届いているのであれば、正直に言ってほしいとお願いした。そのような声はまったくなく、本来なら、ご本人の目に触れるはずのない匿名のはがきを届けてしまって…と恐縮された。

届いたのは、なかなかのタイミングだった。その前月に、友人が自らいのちを絶った。半年前に、桐子さん以外だれにも会いたくないと連絡のあった友人だった。毎日のようにメールをしたけれど、会いに行けたのは3回だけだった。私はどうすればよかったのか…泣くこともできなかった。
共通の友人から、「(別の人の自死の話を)もっとちゃんと桐ちゃんに話せば、Rさんは救えたかなあと思うことがあってん。でも、そんなん思ってもしゃあないね」と、メールが届いた。私を責める意図ではまったくない。それでも、私でなければ救えたかもしれない…ということが、どうしようもなくくるしかった。あまりの取り返しのつかなさに、それでも自分を保っていることを申し訳ないと思った。

そんなときに、はがきは届いた。すうっと血の気が引いた。
はがきは破棄してくださいと言われたけれど、なぜか捨てられなかった。
自分の句が抜ける抜けないだけでなく、選が納得できない選者に、交代してほしいという気持ちは分かる。せめて理由を聞かせてほしいと思うし、匿名は残念だとも思うけれど…。
このはがきは捨ててはいけない気がした。
新聞の選をさせていただいて、もうすぐ丸七年。はじめて選をしたとき、とても怖かった。あのときの気持ちを思い出させてくれる。ありがたいことかもしれないと、思えた。

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コメント

あなたはやっぱりあなたですよね。
あなたを見ていると、何があろうとも、何をしようとも、
いつもそれでいいよねと思うような気がします。
とはいえ、特別なことをしているわけでもなく。
自分に厳しくとも人に厳しいわけでもなく。

顔を背けたい事象もあります。
すり替えてしまえば楽なこともありますが、
ちょっと待てよと、
自分に向き合っている気がします。
それはおそらく、
あなたが獲得した生きる姿勢でしょうか。
私もそこから学習をしています。

老婆心という言葉の響きが、
私、この頃ぴったりになってきたなぁと思います。
それを言い訳に、さらに言いたいこと言いになりそうですが。

。はじめて選をしたとき、とても怖かった。あのときの気持ちを思い出させてくれる。ありがたいことかもしれないと、思えた。
 このようにも受け止められる桐子さんてステキです。
さあ、お湯につかって、ビールを一杯!(私はおまんじゅうですがね。笑い)
また、新しい明日が待っています!。

ミホさん、ありがとう。
そんなカッコのいいもんじゃなくて、
どれだけ失敗ばかりしてきているか…。
ご存知の通りですよ。
はがきは見るたびに、ひっ!てなるくらいショックだったのが
昨日はちょっと違って、書いているうちに
そうか、やっとそう思えたんか…と気付いた次第。

明日、嵐が来るとは思えない青空だけど…。
用心しようね。

光明さん
どうも、どうもです。
はい、この世にお風呂とビールがあってよかった!
あ、川柳も!!

夕べ、いつからねじまきに行きはじめたか調べたら
なんと、2010年からでした。
びっくりしました。8年も経てば、柿がなるじゃないですか!
振り返って、一人感動していました(笑)

新子先生とお喋りをしている時でした。

「文芸の中をうろうろしていると、川柳、エッセイ、そして選・・・・生き方まで色々と言ったり、手紙を書いてくる人の多い事。
堂々と言ってくれたらいいのに、みんな顔をかくしている
・・・・世の中、顔を見せて、話してくれる人ばかりじゃないの」

「人は、それぞれ違っているから面白いのに。
私の生徒さんの生き方まで、あれこれ告げてくる人もいるわよ。
とやかく言わずに、ほっておいてほしいわ。
いちいち、気にしていたら大変!!!!」

「そのままで歩いていきなさいね。
耳も目もふさげないけと、人は人。
書きたい事を書きなさいね。
ひろ子はひろ子で歩いていきなさい」と。

ひろ子さん、こんにちは。

昨夜やっと電気が復旧して、ブログをひらいたらメッセージ!
こんなうれしいタイミングもあるんですね。

朝から、たまっていた洗濯をして、からっぽの冷蔵庫を拭いてすっきりしました。
これから仕事も一つひとつ、かたづけます。

わたしはわたしわたしはわたしわたしはわたし……元気になるおまじない!!

 こんにちは。胸が締め付けられるような内容で、桐子さんの心が心配になりました。でも、応援して下さる方もいらっしゃるので、平凡ですが、頑張って下さい。  ずっと以前、やっとインターネットが繋がる日でした。繋がったら一番に、ネットで話せるねと書こうとした日、友人が自ら命を絶ったことを数日後に知って、私は何が出来たのだろう?とずっと自分を責めました。でも、結局、人生を決めるのは本人でしかない、という答えに無理やり辿り着きました。いまでも思い出すと泣きたくなります。 おはがきも、桐子さんのせいではなく、ただその人の個人的感情だけだと思うので、選者のことは気にしない方が良いと思います。人はそれぞれですから。 とにかく、日常を過ごして欲しいです。はがきのような人もいますが、ファンも一杯いるということを忘れないで欲しいと思います。

らきさん、こんにちは。
ありがとうございます。
ここに書けるまでにはなったので、だいじょうぶです。

友人のことも、らきさんのように、
同じような体験をされた方は決して少なくないようで、
メールや電話をくださった方がありました。
すこし前に彼女の夢をみて、咄嗟にことばが出なくて
近づこうとしたら目が覚めてしまいました。
でも、会えてうれしくて、次は話ができる気がします。

こういうことを書くことがいいことなのかどうなのかも分からないし、
書いたってこたえの出ないことばかりで、
そもそもブログってどうなの……と思いながら
やめるタイミングとか、やめ方も悩ましくて
たぶんもう少し書くと思いますので、よろしくお願いします。

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