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2019年9月

2019年9月19日 (木)

ぎりぎりやもやもやや

某日、「明日、締切ですが大丈夫ですか?」のメール。もしかして、私以外の人は原稿が出そろったのだろうか?と焦る。未発表10句。少し前に、未発表15句を出したばかりでストックがない。「なんとかかき集めて、明日にはそろえますので…」と返信。誘拐犯から身代金要求されているような心持ちで、句帳やフォルダーを開いて振ってみる。惜しい句に手を入れたり、なんやかんやしてぎりぎりに提出。

某日、新聞の選句。2ヶ月前、投句はがきに「ここ1〜2年投句してるんですが、一度も入選したことがありません。どこがどういけないのか聞きたいです!!」というコメントがあった。たまたまその月を含めて3ヶ月分の投句はがきを保管していたので、その方のはがきを探し出した。同想・類想を抜けることと、ものごとの説明をしないことの2点、例句もあげてお返事を差し上げた。はたして先月も今月も、投句がない。

某日、廃ビル、廃屋で大型インスタレーションを展示するグレゴール・シュナイダー氏のお話を聴く。シュナイダー氏の作品には、複製、二重といった手法がよく使われる。それについて「どういう意図があるのか?」という質問に、「理由なくやっている。理由があったらやっていない」と言われた。受け手に対して狙わないということは、やはり大事なことだ。

某日、青のかかっている歯医者さんがいいというので行ってみた。診察椅子の前にモニターがあって字幕映画が流れている。青はいつも洋画の青春ものだと言う。私は時代劇だった。患者に合わせているのか?椅子を起こされた時は、つい観てしまう。女郎屋で、遊女がこころ惹かれた客を追っ手から逃してやろうとする。敵が踏み込んで来た。椅子を倒される。遊女が敵に捕まって、首元に刀を突きつけられる。椅子が倒される。ものすごくもやもやするのだった。

某日、ねじまき句会。ゲストは、俳人の西原天気さん。「川柳人はわからない句を書く割に、人の句はわかろうとするんですね」。たしかに、解釈しよう、鑑賞しようとしすぎるきらいがある。名古屋はまだ暑かったけれど、句会にはあたらしい風が通り抜けて気持ちよかった。

2019年9月12日 (木)

虚構

須賀敦子没後20年の昨年、「須賀敦子の旅路」を出された大竹昭子さんと、イタリア文学研究者の武谷なおみさんのトークへ。
お二人が語る一人の女性としての須賀敦子と、作家須賀敦子。文章からの勝手な印象で、大いに納得するものと新鮮なギャップ。ますます、須賀敦子に惹かれた。声も文字も、かわいらしさにかなり驚いた。

エスプレッソのようなぎゅっとしたトークで、カップの底に残ったのは「虚構」の文字…。
「コルシア書店の仲間たち」は、須賀が事実を虚構化することへ一歩踏み越えた作品。作り話ではなく、作品化することで、より真実を伝えようとする虚構。須賀の虚構には、人に対する脅え、恐れが常にあったように思う。

2019年9月 9日 (月)

いない夏のいる日

今年のお盆は、Rちゃんのお参りに行けなかった。
西に向かう電車でふいに思い立って、上の娘さんのAちゃんに「お元気ですか?」と連絡してみた。
携帯が鳴って、八上さんの名前をみて驚きました。実は明日、結婚式なんです。これって母のいたずらですよね。
車窓には、いつのまにか海。二人でよく行った、境ガ浜マリーナを思い出す。
(びっくりしたじゃろ)Rちゃんの声がして、のどが詰まる。
はじめて下りた駅からはじめてのバスに乗り、高台のバス停を降りたら真ん前にRちゃんの名字の歯科医院があった。
めずらしい名字なので、写真に撮ってAちゃんに送る。それはもう母がそばにいますね!
……Rちゃん、なにか話したいの?

用事を済ませて駅前に戻るとちょうど昼どき。目についた定食屋さんに入る。
カウンター、テーブル、個室もある大きな定食屋は、ほぼ満席。なぜかピアノの生演奏をしていた。
客が次々に立つと、入れ替わりで入ってくる。元気なおばさんが4人で、ちゃっちゃと捌く。
「ぽんちゃん、レジ行ける〜?」「急須のふた、あらへん」「ごはん小な〜」「日替わり終わり〜」
その合間を、ユーミンや陽水のナンバーがゆったり流れる。
(どう味わってええんか、わからん)Rちゃんの声がして、おかしくなる。

帰りの海は、ほとんどひかりだった。

 

2019年9月 5日 (木)

蕪のなかの夜に

歌人の牛隆祐さん、詩人の櫻井周太さんとのユニット、「フクロウ」会議の創刊号が出来がりました。
「蕪のなかの夜に」をテーマに、それぞれの作品。歌人、俳人、詩人、川柳人による詩歌合評会も収録しています。
牛さんの声かけで集まった、ジャンルも作風も年代もバラバラの3人の共通点は、無所属。どうなるのかな?と思ったけれど、ふしぎと空気感がなじんでいる。牛さん、すごいな。

Ec5tf6qvaamhr8u 好評のブックデザインは、冨家弘子さん。
8日の文フリ大阪に出店します。取扱い書店は、HPの最新情報をご確認ください。

2019年9月 4日 (水)

川柳×短歌

蔦屋梅田店で「現代川柳と現代短歌の交差点」という、トークイベントがあります。
歌人の岡野大嗣さん、平岡直子さん。川柳人はなかはられいこさんと、私。司会は小池正博さんです。
ミニ句会もしますので、ご参加の方はぜひ投句ください!(投句締め切り9月16日)

2019年9月 2日 (月)

コピー機の光みたいに撫でられる

松江川柳会 全国誌上川柳大会

「選者を困らせてやろう」と呼びかけられた本大会。自由吟の8名共選。選者も投句せよと、選者泣かせの大会でした。
合点制(特選5点、佳作3点、入選1点)で、上位12名に贈られたのは松江特産品詰め合わせ。ラッキーなことに私もゲット。本日、骨まで食べられる「えてかれい」をいただきました。美味しかったです!!

大賞句は

  ぼこぼこにしてんかなすびにしてんか  河村啓子

「してんか」と「なすび」が巧い。こんなこと言われたら、ぼこぼこにできない。ずるいなあ〜。

さて、選評で3名の選者が、「難解語を揃えて『あんたこれ知ってるか』的作品は、辞書、ウィキペディアなどで調べた上で選外とした」、「『真新しい外来語を使った句』。その意欲は買うが、まだ認知度の低い言葉には抵抗がある」、「うろ覚えや、初めて知る言葉をインターネットで調べながらの選であった。充分に読み取れたとは言えないが、言葉に頼りすぎた作品もあったように思う」と、目新しい言葉を使った作品について触れている。

「選者を困らせる」が、まだ誰も使っていないような道具(言葉)で勝負!となったのだろうか?日頃、使いこなせていない言葉を使うのは相当むずかしいことだと、私も感じた。道具ではなく、新技というのもありで、そっちの方がよほど選者は困ると思うのだが…。

大会はたくさんあるけれど、あえて「挑戦的な句を作ろう」と呼びかける大会は類を見ない。松江が、伝説の津山や玉野のようになってくれるのでは…と期待を寄せている。

 

カナブンこつんと工員だった父

ねじまき句会、雑詠。

お知らせしたいこと、つぶやきたいことはあれこれありながら、8月は余裕がなかった。

ひとつは、週に1、2日仕事に行きはじめた。ブランクがあったので、体力、事務能力、コミュニケーション力…、あらゆる面で衰えを感じる。ほぼ1ヶ月のリハビリ期間を経て、今日はやっとちょっと取り戻したかな?と思った矢先、ミスをしでかしてしまった。ここで落ち込んでる場合じゃない。また、がんばるんやでと、ビールを1本多めにサービスした。

そんな8月に、母が10日間滞在。母の詩吟の先生であり、親友でもあるIさんといっしょに来て、最初の3日間は神戸観光。足腰の悪い二人を、灘の酒蔵、北野界隈、夜景、中華街から三宮、神戸港クルーズ、おいしいカフェや中華に和食にイタリアン、お好み焼きまでたっぷりガイド。しかしながら一番好評だったのは、朝食で評判のピエナホテルだったような…。朝食ブッフェは、種類もお味も噂に違わず、朝から間違いなく食べ過ぎてしまう。美容器具やヒーリンググッズなどの貸出しも充実していて、母たちの部屋には美顔ローラーをお願いした(笑)アメニティグッズも、スタッフ対応も◎。それでいて、お値段はリーズナブル。ほんとおすすめです。
Iさんが帰られてからは、我家に滞在。くるくるよく働く人だったけれど、家のことはほんとうに何もしなくなった。私が仕事に行く日も、お弁当作ってね、芋ふかして、桃剥いといて…といった調子。エンデイング(延命治療、葬儀、墓など)の希望を記入する母仕様の用紙を作ったり、姪っ子を呼んだり。細切れの時間で仕事をしながら、子育ての頃を思い出した。
母の口癖に「これが最後やから」がある。そう言いはじめて何年になるか。「さいご、さいご詐欺」と笑い飛ばしながらも、プレッシャーを感じる。自身の母に、もっと電話すればよかった、今なら寂しさがわかる式の話もチクチクする。さいごの2日は、富士山8合目、9合目のように、あとちょっと、がんばれ、がんばれ…と過ごして帰宅の日。九州豪雨!「『命を守る行動を』って言ってるから」と言う母に、「新幹線は動いてるよ」と言ってしまう。青が「おばあちゃん、今日帰らなくていいねんで。いつまでいてもいいねんで」とフォローして、1日延期に。

帰宅日。新大阪で、お土産に「551」を買うと言うので並んだ。3台のレジのうち一つが、カードの読み取り機の不具合で手間取り、列が伸びてゆく。母の番になった。母は補聴器をしていても耳が遠くて、私が大きな声で通訳しなければいけない。「チルドの肉まん6個入り」「チルドは4個のみです」「4個入り、のみだって〜!」「じゃあそれと、餃子」「餃子は焼きのみです」「焼いたのしかないんだって〜!」「え〜、じゃあどうしよう…」と、もたついてしまう。と、「はよしたらんかい!何どんくさいことしとんねん、あほか!ぼけ…」、いきなり後ろのおじいさんに怒鳴りつけられた。並んでいる間に、私が聞いて買うものを決めておけばよかったのだが、なんだかもう、疲れていたのだ。
朝から、近くのコンビニに宅急便を出しに行ったら、豪雨のため佐賀への荷物は受付停止。荷物の中には、さつま芋がどっさり。近所の八百屋さんの鳴門金時を気に入って、送ると言ってきかなかった。私が持ち帰って後で送っておくと言っても、郵便局に出したいと言うので、箱を抱えて行ったのだった。
おじいさんは、店員さんには「はい、ありがとう」「はい、ありがとう!」と愛想を振りまいて、私たちの後ろを通るとき、「ほんまにこのあほが!ええかげんにさらせ!ぼけ……」と睨みつけて罵声を浴びせていった。母の耳には聞こえていなくてよかったが、私は泣きそうだった。

母を見送って大阪駅で改札を出たとき、一瞬どこへいけばいいのかわからなくなって立ち止まってしまい、後ろの人にまた叱られた。
妹へ母が新幹線に乗ったことを連絡すると、母のいない間うれしかったと返ってきた。その足で、保育所へAちゃんをお迎えに行き、家まで1時間かけて歩いた。風に運ばれる葉っぱ、マンホールのふた、小さな黄色い花…。Aちゃんと立ち止まる時間はとてもやさしかった。

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